これが農政の失敗だ

農業で所得を上げるには価格や生産量を上げるかコストを下げればよいわけです。
農産物のコストは、1ha当たりの肥料、農薬、機械などのコストをかけて1ha当たりどれだけ収穫できるかということになります。

要するに単位面積当たりの収量(単収)で割ったものでです。
そこでコストを下げる方法としては規模拡大による1ha当たりのコスト削減と単収向上の2つがあるわけです。

ところが日本の農政においてはコストを下げるのではなくて食管制度の下で米価を上げて農家所得を向上させる方法をとってきたのです。

総農地面積が一定で一戸当たりの規模が拡大すると農家戸数は減少するわけですがそれでは農協が面白くない話になります。

なぜなら組合員の圧倒的多数が米農家であり農家戸数を維持したい農協としては農業の構造改革に反対したわけです。

農協としては少数の主業農家ではなくて多数の兼業農家を維持する方が農外所得や農地転用利益の農協口座への預け入れなどが増えるわけです。

そのことで農協経営の安定や政治力維持につながるわけですから食管制度の時代においての農協では生産者米価引き上げのため一大政治運動を展開したわけです。

農協の職員達は大喜びであり思惑通り1960年代以降の生産者米価引き上げに成功しました。
それによりコストの高い零細農家も小売業者から高い米を買うより自分で作った方がまだ安いと感じて農業を継続し続けたわけです。

そうなると零細農家が農地放棄してくつことはないので専業農家に農地は集積することはありませんし規模拡大は進まなかったわけです。

農業を主業とする農家の販売シェアは野菜や酪農では8割~9割を超えているのに対して米だけは4割にも満たないので農家はコストを引き下げて収益をあげようとするのですが農政がそれを阻んでしまったのです。

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