衰退するだけの日本農業2

これまで農業に他の産業にはない手厚い保護が加えられてきたわけですが、それは国民への食料の安定供給からです。
食料安全保障という役割があるから他なりません。

農地法による転用規制とか農業振興地域の整備に関する法律による土地利用規制はあったものの農地資源は大量に転用され放棄され続けてきました。

1961年に609万haあった農地の4割を超える250万haの農地が耕作放棄や宅地などへの転用によって消滅しました。
以前は農地が500万ha以上あっものが現在では総農地面積は終戦時をはるかに下回る461万haに過ぎません。

農業の衰退は農地をさらに減少させ食料安全保障を脅威にさらすことになったわけです。

仮に農地面積が一定数だと仮定した場合に農家戸数が減ると1戸あたりの経営規模は拡大するわけです。
そして規模が拡大することによりコストは下がり農業収益は増加するわけですが日本では戸数とともに農地面積も大きく減少しました。

農業国政策に成功しているのフランスでは農家戸数は大きく減少してはおりますが耕地面積はほとんど減少しませんでした。

そのため農家の経営規模は拡大し1980年から2006年にかけて経営規模は25.4haから52.3haへと拡大しているのです。
日本では1.2haが1.8haになっただけの惨憺たる結果です。

更にフランスでは総投下労働時間のうち農業への投下労働時間が半分以上だそうですから所得のうち農業所得が半分以上を占めるという企業的農家に対してだけ農業政策の対象を限定しておりますので、日本のように土日だけ働く農業とは違います。

日本のように平日はサラリーマンをして都合の良い土日に農業をするといったパートタイム・ファーマーはフランスでは農政の対象ではありません。

フランスでは保護に値する農家は真剣に農業をやっている農家だけだということになります。
日本の農政は結果的にフルで働く農業者よりもパートタイマー農業者を優遇しているのです。

これは完全に国策の誤りであり輸入数量制限や米の778%という関税に代表される異常に高い関税で国内農産物市場を外国産農産物から守ってきた負の結果です。

このことは日本農業が衰退した原因が海外からの影響からではなく国内にあるということを意味していいるのです。
農業を振興するはずの農政そのものが間違っていたことになります。

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