戸別所得補償政策
2010年度から導入された「戸別所得補償政策」はコストと米価の差10a当たりに1万5000円を農家に支払うというものです。
はたして農家は本当にコスト割れをしているのでしょうか。
もしコスト割れをしているのならば農家は生産を継続できなかったはずです。
コストが米価より高い本当の理由は・・・コストが肥料や農薬など実際にかかった経費に労働費を農水省が計算して加えた架空や机上のコストだからです。
農水省の統計によれば販売収入から経費を引いた米農家の農業所得は平均では35万円です。
7~10ha規模の農家では414万円ですし20ha以上の規模においては1191万円(2009年)となっています。
実際にはコスト割れなどしていないのが実情なのです。
そもそも勤労者世帯よりも高い所得を得ている裕福な兼業農家に国民納税者は何千億円も支払わなければならないのは可笑しな話です。
政策の目的が所得補償であるはずなのに選挙目当てに所得の高い人も対象にしてしまっているわけです。
しかも50aの小規模農家への補助金は7万5000円に過ぎないのですからこれは所得補償という名前を借りたただのバラまきにすぎません。
7万5000円をもらって本当に生活ができるでしょうか。
農家が今回の戸別所得補償を受けるのは生産を減少して高い米価を維持するという減反へ参加することが条件でした。
決して米価水準を下げようとするものではありません。
農家を減反に参加させるために補助金が支出され今回は3371億円という戸別所得補償を加えるのですから減反補助金と合わせると5618億円となります。
高い米を交わされる消費者負担には更に納税者負担が加重されるし価格が下がらないばかりか関税もは下げられないのです。
米価が低下すると戸別所得補償は増額されるのですが米価が上がっても戸別所得補償は減額されないのです。
要するに農家は減反で維持されている現在の米価に10a当たり1万5000円を加えた水準を上回る手取りが常に保証されることになるのです。
さらに戸別所得補償は零細な兼業農家も含めるのでほとんどの農家に支払われことになります。
これでは零細で非効率な兼業農家も農業を続けてしまいますので企業的な農家に農地は集まらないわけです。
そのことで米作の高コスト構造は改善しないどころか逆にこれまで主業農家に貸していた農地を兼業農家が貸しはがすという事態もおきているのです。
これでは日本の農業に先は見えません。
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